脳神経内科か脳神経外科か——頭・神経の症状で受診先を迷ったとき
監修:長友恭平(精神保健指定医/標榜:精神科・心療内科)なぜ精神科・心療内科の医師が全科を監修しているの?
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「脳神経内科」と「脳神経外科」——名前が似ていて混乱しやすい2つの診療科です。どちらも脳・神経系の問題を扱いますが、担当する治療の種類がはっきり異なります。「頭の病気は脳神経外科」と思い込んでいる方も多いですが、手術が必要ない場合は脳神経内科が対応します。初診でどちらに行くか迷ったときのための選び方を解説します。
結論:まずどっち?
| こんなとき | おすすめの初診科 |
|---|---|
| 頭痛が続く・繰り返す | 脳神経内科 |
| 手足のしびれ・脱力 | 脳神経内科 |
| めまい・ふらつきが続く | 脳神経内科 |
| 物忘れが増えた | 脳神経内科(もの忘れ外来) |
| 震え(手・足・頭)が続く | 脳神経内科 |
| てんかん発作が起きた | 脳神経内科 |
| 突然の激しい頭痛+嘔吐 | 救急(119番) |
| 手術後のフォロー | 脳神経外科 |
| 脳・脊髄・神経の手術が必要と言われた | 脳神経外科 |
脳神経内科でできること
脳神経内科は「脳・脊髄・末梢神経・筋肉の疾患を薬や非外科的な方法で診察・治療する」診療科です。手術は行わず、神経学的な診察・検査(MRI・CT・脳波・髄液検査など)と薬物療法・リハビリテーションが主な仕事です。
神経系に関係するほとんどの症状は、まず脳神経内科での診察から始まります。手術が必要な状態が見つかった場合に脳神経外科へ紹介されることがあります。
脳神経内科で診断・治療できる代表的な疾患
頭痛
- 片頭痛
- 緊張型頭痛
- 群発頭痛
- 薬剤の使用過多による頭痛
運動・感覚の異常
- 脳梗塞(急性期は救急、慢性期は内科でのフォロー)
- 多発性硬化症
- 手根管症候群・末梢神経障害
- 筋萎縮性側索硬化症(ALS)
変性疾患
- パーキンソン病(震え・動きの緩慢さ)
- 認知症(アルツハイマー型・レビー小体型など)
てんかん
- てんかん発作の診断・薬物治療
その他の神経疾患
- 重症筋無力症
- ギラン・バレー症候群
- 三叉神経痛
脳神経外科でできること
脳神経外科は「脳・脊髄・末梢神経の手術を専門とする」診療科です。外科的治療(開頭手術・内視鏡手術・血管内治療など)が主な仕事で、脳神経内科では対応できない外科的処置が必要な場合に担当します。
外来での定期診療(手術後の経過観察、良性腫瘍の経過観察など)も行いますが、初診の窓口は脳神経内科であることが多く、脳神経内科から紹介される流れが一般的です。
脳神経外科で手術・治療が行われる代表的な疾患
血管系の緊急疾患
- 脳出血(開頭術・穿頭術)
- くも膜下出血(クリッピング術・コイル塞栓術)
- 脳動脈瘤(破裂前の予防的治療含む)
- 脳動静脈奇形
腫瘍
- 脳腫瘍(良性・悪性)
- 髄膜腫
- 転移性脳腫瘍
外傷
- 頭部外傷(硬膜外血腫・硬膜下血腫)
脊椎・脊髄
- 頚椎症性脊髄症(手術が必要な重症例)
- 腰部脊柱管狭窄症(手術を要する場合)
- 椎間板ヘルニア(保存療法で改善しない例)
その他
- 正常圧水頭症(シャント手術)
- 三叉神経痛(薬で改善しない場合の微小血管減圧術)
症状別の使い分けの目安
頭痛
慢性・反復性の頭痛(片頭痛・緊張型頭痛など)は脳神経内科が主体です。MRIで脳腫瘍・動脈瘤が発見された場合は脳神経外科に紹介されます。
→ 関連: 頭痛——どの科に行けばいい?
しびれ・麻痺
しびれ・脱力の多くは脳神経内科での診察から始まります。MRI等で手術適応のある椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症が見つかった場合は整形外科または脳神経外科に紹介されます。
→ 関連: 手足のしびれ——どの科に行けばいい?
めまい
めまいは耳(内耳)と脳・神経系の両方が原因となります。神経症状(しびれ・ろれつの回らなさ・複視)を伴う場合は脳神経内科・救急が優先されます。耳の症状(難聴・耳鳴り)が主体の場合は耳鼻咽喉科が初診先として一般的です。
→ 関連: めまい——どの科に行けばいい?
→ 関連: 耳鼻科か脳神経内科か——めまいで迷ったとき
物忘れ
認知症の診断・治療・経過観察は脳神経内科(もの忘れ外来) が担当します。正常圧水頭症のように手術で改善が期待できる疾患が見つかった場合は脳神経外科に紹介されることがあります。
→ 関連: 物忘れ——どの科に行けばいい?
震え(振戦)
手・足・頭部の震えはパーキンソン病・本態性振戦などが原因のことがあり、脳神経内科が主体です。重症のパーキンソン病で深部脳刺激療法(DBS)が検討される場合は脳神経外科と連携します。
こんなときはすぐに救急を
以下の症状が重なる場合は、脳神経内科・脳神経外科への予約受診より先に、救急を受診(119番・救急外来)してください。
- 突然の激しい頭痛(これまでに経験したことのない強さ)
- 手足の片側が動かない・突然のしびれ
- 顔の半分が動かない・ゆがむ
- ろれつが回らない・言葉が出ない
- 片目・両目の視野が急に欠けた
- 意識を失った・ぐったりしている
これらはFAST(脳卒中の早期発見チェック)のサインです。一刻も早い治療が予後に関わるため、「脳神経内科に行くか脳神経外科に行くか」を考える前に救急を優先してください。
よくある質問
Q. どちらに行けばよいか迷うときはどうすればいいですか?
A. 初診では脳神経内科から受診するのが一般的な出発点です。脳神経内科医が診察と検査を行い、手術が必要な状態(脳腫瘍・動脈瘤・出血など)が見つかった場合は脳神経外科に紹介されます。「頭・神経系が心配」という場合は脳神経内科を受診先として考えると迷いにくくなります。
Q. 内科と脳神経内科の違いは何ですか?
A. 一般内科(かかりつけ医)も頭痛・めまいなどを診ることがありますが、神経疾患の専門的な診察・検査(神経学的診察・神経伝導検査・脳波など)は脳神経内科の専門領域です。頭痛・しびれが続いて原因が不明な場合はかかりつけ医から脳神経内科に紹介してもらうのも一つの方法です。
→ 関連: 内科か脳神経内科か——頭痛・しびれで迷ったとき
Q. 頭をぶつけた後は脳神経外科と脳神経内科のどちらに行くべきですか?
A. 頭部外傷後の処置は脳神経外科が担当します。外傷後に意識を失った・しばらく気を失った・ひどい頭痛や嘔吐が続く場合は救急受診してください。軽い打撲でも「しばらくしてから症状が出る場合がある」ため、受診のタイミングで不安があれば脳神経外科に問い合わせてみることをお勧めします。
Q. 整形外科と脳神経外科はどう使い分けますか?
A. 首・腰・手足のしびれ・痛みについて、整形外科と脳神経外科はどちらも対応できることがあります。脊椎の骨・椎間板の病変(頚椎症・腰椎椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症など)は整形外科が主体のことが多いですが、脊髄・神経の圧迫が強い場合は脳神経外科でも手術が行われます。施設によって対応が異なるため、どちらにかかれるか確認してから受診してください。
→ 関連: 手足のしびれ——整形外科か脳神経内科か
まとめ
- 頭・神経の症状でまず迷ったら → 脳神経内科
- 手術が必要な病変が見つかった場合 → 脳神経外科(紹介を経て)
- 突然の激しい頭痛・片麻痺・構音障害 → 救急(119番)
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監修:長友恭平(精神保健指定医/標榜:精神科・心療内科) このページの内容は診療ガイドラインや標準的な医学教科書をもとにまとめた一般情報です。個別の症状・状況については、必ず医療機関にご相談ください。
参考にした主な情報源
この記事は、各学会の診療ガイドライン・厚生労働省の公開情報・Minds ガイドラインライブラリ・標準的な医学教科書をもとに、医師監修のうえ作成しています。