頭痛が続くときに考えること——タイプ別の見分け方と受診先の選び方
監修:長友恭平(精神保健指定医/標榜:精神科・心療内科)なぜ精神科・心療内科の医師が全科を監修しているの?
監修医の専門は精神科・心療内科ですが、当サイトは内科・整形外科・耳鼻咽喉科・眼科・皮膚科・小児科・泌尿器科など12診療科を扱います。専門外の領域は各学会の最新ガイドラインに準拠して作成し、判断に迷う記述は記事を保留・修正しています。くわしくは監修方針をご覧ください。
⚠️ このサイトは診断を行うものではありません。受診先を考えるための参考情報です。気になる症状は必ず医療機関を受診してください。
頭痛は誰にでも起こる症状ですが、「ただの頭痛」と片付けてしまうと見逃される病気もあります。一方で、すべての頭痛が深刻なわけでもありません。タイプによって受診すべき科や対処の方向性が変わるので、まずは自分の頭痛の特徴を整理してみるのが近道です。
すぐに救急受診を考えるサイン
次のような頭痛は、当サイトの結果に関係なく119または救急外来を検討してください。
- 突然「これまでで一番ひどい」と感じる激しい頭痛(雷鳴頭痛)
- 高熱と項部硬直(首の後ろが硬く曲げにくい)をともなう
- 麻痺・呂律が回らない・意識がもうろうとする
- 強い眼の痛みと吐き気、視力の低下をともなう
- 50歳を過ぎて初めて経験する持続的な頭痛
- 免疫を抑える薬を飲んでいる、がんの既往がある状態での新規発症
頭痛の主なタイプ
片頭痛
- 片側性・拍動性(ズキンズキン)の中等度から強い痛み
- 4〜72時間続き、動くと悪化する
- 吐き気や光・音への過敏をともなうことが多い
- 前兆として閃輝暗点(視野にギザギザの光が見える)が出る人もいる
緊張型頭痛
- 両側性で、締めつけられるような圧迫感
- 軽度から中等度で、日常動作で悪化しない
- 肩こり・首のこりをともなうことが多い
- パソコン作業や精神的ストレスで誘発されやすい
群発頭痛
- 片側の目の奥が抉られるような激しい痛み
- 1日のうち決まった時間帯(特に夜間)に短時間反復する
- 涙・鼻水・眼の充血をともなう
- 数週間続いて数ヶ月〜数年消える「群発期」がある
副鼻腔炎にともなう頭痛
- 額や頬の周りが重く痛む
- かがむと悪化する
- 鼻づまり・黄色い鼻水・後鼻漏をともなう
受診の目安となる科
| こんな頭痛 | まず相談しやすい科 |
|---|---|
| いつもの頭痛だが頻度・強さが増した | 内科・脳神経内科 |
| 片頭痛らしい(拍動性・吐き気・光過敏) | 脳神経内科・頭痛外来 |
| 締めつけ感が中心で肩こりも強い | 内科 |
| 鼻症状をともなう重い痛み | 耳鼻科 |
| 眼痛・視覚異常をともなう | 眼科 |
| これまでにないタイプで急に始まった | 救急 |
迷ったときは、まず内科で相談すると、必要に応じて脳神経内科や耳鼻科への紹介につながります。「頭痛外来」を標榜している医療機関がある場合は、片頭痛・群発頭痛が疑われる方にとって近道になることがあります。
すぐ受診したほうがいい人 vs 様子を見てもよい人
頭痛は誰にでも起こる症状なので、「これくらいで病院に行っていいのかな」と迷う方が多いです。次の整理を目安にしてください。
すぐ受診したほうがいい人
- これまでで一番ひどい頭痛が突然始まった(数秒〜1分でピーク)
- 50歳を過ぎて初めて経験するタイプの持続的な頭痛
- 月に10日以上頭痛があり、生活や仕事に支障が出ている
- 鎮痛薬を月に10日以上飲んでいる状態が3ヶ月以上続いている
- 麻痺・しびれ・呂律のもつれ・視野の異常をともなう
- 高熱や首の硬さをともなう
- 妊娠中・授乳中で頭痛が続いている
- がんや免疫を抑える薬で治療中である
これらに当てはまる場合は、当サイトの結果に関係なく早めの受診または救急受診を検討してください。
様子を見てもよい人(数日〜1〜2週間)
- いつもの頭痛と同じパターンで、市販の鎮痛薬で軽快している
- 睡眠不足・飲酒・特定の食事・天候など、心当たりのある誘因がある
- 月数回程度で、日常生活に大きな支障はない
- 鼻汁や軽い発熱をともなう(感冒・副鼻腔炎が背景の可能性)
ただし、様子を見ている間に頻度や強さが増していく、普段と違う性質に変わる、鎮痛薬の量が増えていくような場合は、その時点で医療機関を受診してください。
市販薬で対処してもよいケース vs 受診すべきケース
市販の鎮痛薬は便利ですが、「いつから受診したほうがいいか」の境界は意外と知られていません。
市販薬で様子を見てもよいケース
- これまでにも同じパターンの頭痛があり、1〜2回の鎮痛薬で軽快する
- 月数回程度で、寝込まずに済む
- 鎮痛薬を飲む日が月10日未満におさまっている
医療機関を受診すべきケース
- 鎮痛薬を月10日以上飲む状態が3ヶ月以上続いている(薬剤の使用過多による頭痛のリスク)
- 鎮痛薬の効きが年々悪くなっている
- 寝込むほど痛い/吐き気で動けない/仕事や学校を休む日が出てきた
- 鎮痛薬を飲み続けても根本的に良くならず、頭痛のある日が増えている
片頭痛と診断されると、市販薬ではなくトリプタン製剤や予防薬など、より頭痛のタイプに合った薬を医師に処方してもらえることがあります。市販薬で粘り続けるよりも結果として早く楽になるケースは少なくありません。具体的な薬の選択や効果発現については、診察を受けた医師にご相談ください。
よくある質問
Q. 寝不足や疲労だけで片頭痛は起こりますか?
A. はい、起こり得ます。睡眠不足・寝すぎ・空腹・脱水・強い光や匂い・天候の変化(気圧低下)・月経周期・特定の食品(チョコレート・赤ワイン・チーズなど)が誘因として知られています。複数の誘因が重なった日に発作が出やすい方が多く、頭痛ダイアリーをつけて誘因を把握すると予防に役立ちます。
Q. 「前兆」と「予兆」は何が違うのですか?
A. 前兆は頭痛が始まる直前(5〜60分前)に出る神経症状で、視野にギザギザの光が見える「閃輝暗点」が代表的です。一方、予兆はもっと早く(数時間〜1日前)に出る、あくびが増える・首がこる・甘いものが食べたくなる・気分の変化などの体調変化を指します。前兆がある片頭痛は全体の2〜3割ほどで、前兆がない片頭痛のほうが多数派です。
Q. 鎮痛薬は月に何日まで飲んでよいですか?
A. 一般的には月10日未満が目安とされ、月10日以上飲む状態が3ヶ月以上続くと「薬剤の使用過多による頭痛」を生じやすくなります。元の頭痛とは別に、薬の影響で慢性的に頭が痛い状態が続いてしまう状態です。心当たりがある方は、自己判断で減らすのではなく医療機関で相談してください。
Q. 天気・気圧で起こる頭痛は何科ですか?
A. いわゆる「天気頭痛」「気象病」と呼ばれるものは、多くが片頭痛または緊張型頭痛のパターンに当てはまります。まずは脳神経内科や頭痛外来、なければ内科で相談するのが現実的です。市販の酔い止め成分が役立つ方もいますが、月に何度も寝込むようなら片頭痛として治療したほうが楽になることが多い領域です。
Q. 50代以降で初めて経験するタイプの頭痛は様子を見てよいですか?
A. 様子を見ずに早めに医療機関を受診してください。50歳以上で新たに始まった持続的な頭痛は、若い人の頭痛よりも背景に他の病気が隠れている可能性が相対的に高くなります。緊急性のあるサイン(突発の激痛・麻痺・発熱・視覚異常など)がなくても、一度は脳神経内科や内科で評価を受けることをおすすめします。
Q. 妊娠中・授乳中の頭痛はどうすればよいですか?
A. 妊娠中・授乳中は使える薬が限られるため、自己判断で市販薬を飲み続けるのは避け、まず産婦人科のかかりつけ医に相談してください。必要に応じて脳神経内科と連携して対応します。
受診前のチェックポイント
診察時間は限られています。受診前に以下を整理しておくと、医師が頭痛のタイプを見極めやすくなり、結果としてあなたに合った治療提案につながりやすくなります。
頭痛そのものについて
- いつから始まったか(数日前/数ヶ月前/何年も前)
- 痛みの強さ(10段階で表すと?/寝込むほどか)
- 痛みの性質(拍動性/圧迫感/鋭い痛み/焼けるような)
- 痛む部位(片側/両側/後頭部/目の奥/こめかみ)
- 1回の頭痛が続く時間(数十分/数時間/1〜3日)
- 月に何回くらいあるか/頻度の変化
誘因・パターン
- 痛みを誘発するきっかけ(睡眠不足・寝すぎ・天候・月経・飲酒・食事・人混みなど)
- 1日のうち痛みやすい時間帯
- 季節・月経周期との関連
随伴症状
- 吐き気・嘔吐/光・音・匂いへの過敏
- 涙・鼻水・眼の充血(同じ側)
- 鼻づまり・黄色い鼻水・後鼻漏
- しびれ・麻痺・視覚異常・めまい
- 発熱・首の硬さ
薬・既往
- 飲んでいる頭痛薬(市販薬/処方薬)と効き
- 月に何日くらい鎮痛薬を飲んでいるか
- 高血圧・糖尿病・脂質異常症・がんなどの持病
- 現在飲んでいる薬すべて(サプリ含む)
頭痛ダイアリー(市販・無料アプリでも可)を1〜2ヶ月つけてから受診すると、診断がぐっと早くなります。
知っておきたい背景知識
片頭痛は決して「我慢する病気」ではない
日本では成人の約8%が片頭痛を持つとされ、特に20〜40代の女性に多い病気です。発作期に動くと悪化するため、仕事や育児を休まざるを得ないケースもありますが、近年は治療薬の選択肢が広がり、発作の頓挫薬・予防薬ともに以前より進歩しています。月に複数回寝込むようなら、我慢せず脳神経内科や頭痛外来に相談してください。
緊張型頭痛と片頭痛は併存することがある
「肩こり頭痛のタイプもあれば、月経時にズキズキ寝込むタイプもある」という方は珍しくありません。両方のタイプが併存している場合、それぞれに対する対処(緊張型は姿勢・運動・ストレス管理/片頭痛は誘因回避と薬物療法)を組み合わせる必要があります。
副鼻腔炎が原因の頭痛は意外と多い
鼻づまり・黄色い鼻水・前かがみで悪化する顔の重い痛みは、片頭痛ではなく副鼻腔炎にともなう頭痛のことがあります。耳鼻科で副鼻腔の評価を受けると、頭痛の原因がはっきりすることがあります。
関連ページ
監修:長友恭平(精神保健指定医/標榜:精神科・心療内科)
参考にした主な情報源
この記事は、各学会の診療ガイドライン・厚生労働省の公開情報・Minds ガイドラインライブラリ・標準的な医学教科書をもとに、医師監修のうえ作成しています。