耳鳴り・難聴・耳の詰まり——原因と受診すべきタイミング
監修:長友恭平(精神保健指定医/標榜:精神科・心療内科)なぜ精神科・心療内科の医師が全科を監修しているの?
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耳鳴り(音がないのにキーン・ザーという音がする)や難聴(聞こえにくさ)・耳の閉塞感(詰まった感じ)は、外耳・中耳・内耳・聴神経・脳など幅広い部位の問題で起こります。多くは耳垢や中耳炎など治療しやすい原因ですが、突発性難聴は48時間以内の治療が予後に大きく影響するため、急に聞こえなくなった場合はすぐに耳鼻科を受診してください。
すぐに受診を考えるサイン(レッドフラグ)
🚨 今すぐ(同日・翌日以内に)耳鼻科受診
- 急に片耳の聞こえが悪くなった(突発性難聴の可能性:治療は早いほど効果が高い)
- 耳鳴り+強いめまい(ぐるぐる感)が突然出た(前庭神経炎・メニエール病急性期)
- 耳から液体(膿・血液)が出てきた
- 耳の痛み+発熱をともなう(急性中耳炎の可能性)
⚡ 突発性難聴は72時間が勝負
突発性難聴は「突然、片耳だけ聞こえなくなる」病気です。原因は不明なことが多く、ステロイドなどの治療を行います。発症から72時間(3日)以内に治療を開始した場合の回復率が最も高いため、「しばらく様子をみよう」は避けてください。
⏰ 数日以内に受診
- 耳鳴りが2週間以上続いている
- 片側だけの耳鳴り・難聴が続いている(聴神経腫瘍の除外が必要)
- 聴力が徐々に低下している気がする
- 耳の詰まり感が1週間以上取れない
🏠 経過観察してよい目安
- 飛行機・ダイビング後の耳の閉塞感(気圧の変化によるもので、多くは自然に回復)
- 大きな音を聞いた後の一時的な耳鳴り(数時間で改善する場合)
- 風邪の後の軽い耳の詰まり感(滲出性中耳炎は経過観察でよいこともある)
耳の症状別の主な原因と特徴
耳鳴り(tinnitus)
耳鳴りは「外部に音がないのに音として感じる状態」です。一時的な音響外傷(大音量への暴露後)から始まるものや、内耳の血流障害・神経の問題で起こるものがあります。
- 高音のキーン / ピー音:騒音性難聴・突発性難聴・内耳の問題に多い
- ザー・ゴーという低音:メニエール病に多い(耳の閉塞感・回転性めまいをともなう)
- 拍動に合わせてドクドク感じる(拍動性耳鳴り):血管性の原因を考える。頭蓋内病変の可能性もあり、内科・脳神経外科の評価が必要
- 片耳だけの耳鳴りが続く:聴神経腫瘍(良性)の可能性を除外するために、MRI検査が行われることがある
難聴(聞こえにくさ)
| タイプ | 特徴 | 主な原因 |
|---|---|---|
| 突然(数時間〜1日以内) | 片耳・両耳 | 突発性難聴・急性中耳炎・耳垢塞栓 |
| 徐々に進行 | 両耳(高音から) | 加齢性難聴・騒音性難聴 |
| 徐々に進行 | 片耳 | 聴神経腫瘍・慢性中耳炎 |
| 痛みをともなう | 片耳 | 急性中耳炎・外耳炎 |
| 風邪の後 | 片耳・両耳 | 滲出性中耳炎 |
耳の閉塞感・詰まり感
- 風邪・鼻炎後:耳管が炎症で腫れて閉塞する「耳管狭窄症」・鼓膜の内側に液が溜まる「滲出性中耳炎」が多い
- あくびや鼻をかむと一時的に改善する:耳管狭窄症の特徴
- 自分の声が大きく聞こえる(自声強聴)+閉塞感:耳管が開いたままになる「耳管開放症」の可能性
めまいをともなう場合
- 回転性(ぐるぐる回る感じ)+耳鳴り+難聴:メニエール病が疑われる(反復する特徴がある)
- 頭を動かすと起こる回転性めまい、耳症状なし:良性発作性頭位めまい症(BPPV)
- 突然の回転性めまい+嘔吐、難聴・耳鳴りあり:前庭神経炎またはメニエール病
受診する科の目安
| こんな症状 | まず相談しやすい科 |
|---|---|
| 急に聞こえなくなった(片耳) | 耳鼻科(早急に) |
| 耳鳴り+強い回転性めまい | 耳鼻科 |
| 耳から膿・液が出る | 耳鼻科 |
| 耳の痛み+発熱(子どもを含む) | 耳鼻科 |
| 片耳だけの耳鳴りが3か月以上続く | 耳鼻科(MRI検査の適応検討) |
| 両耳が年齢とともに聞こえにくい | 耳鼻科(補聴器の検討) |
| 拍動性耳鳴り | 耳鼻科・脳神経内科 |
| めまい+頭痛・呂律困難・片側麻痺 | 救急(脳卒中の除外) |
耳を守るための基本的なこと
- 大音量のヘッドホン使用を控える(耳から60cm離れた場所で会話が聞こえないレベルは危険域)
- ライブ・工事現場・工場など騒音環境では耳栓を使用する
- 耳掃除のやりすぎを避ける(外耳道の皮膚を傷つけ外耳炎の原因になる。月1〜2回程度が目安)
- 綿棒を奥まで入れない(耳垢を奥に押し込む・鼓膜を傷つけるリスク)
- 飛行機の耳抜き:離着陸時に唾を飲む・あくびをする・鼻をつまんで軽くいきむ
よくある質問
Q. 突発性難聴はステロイドで改善しますか?
A. 突発性難聴の標準治療はステロイドの内服または点滴で、発症から48〜72時間以内に開始した場合の回復率が最も高いとされています。ただし、すべての患者で完全に聴力が回復するわけではなく、一部では後遺症が残ることもあります。**「聞こえが悪くなったら、急いで耳鼻科へ」**が最も大切なメッセージです。
Q. 加齢性難聴は治りますか?
A. 加齢による聴力低下(老人性難聴)は、内耳の蝸牛細胞が年齢とともに変性するために起こり、現時点では薬で元に戻すことはできません。補聴器の適切な使用が生活の質の改善に有効です。耳鼻科で聴力検査を行い、補聴器外来への紹介や補聴器の選定・調整が行われます。
Q. 耳鳴りは完全に治りますか?
A. 耳鳴りの原因によって異なります。耳垢・滲出性中耳炎・耳管狭窄症などが原因の場合は治療で改善します。内耳の神経が関与する慢性耳鳴りは、完全に消えないことも多いですが、音響療法(TRT)・認知行動療法などで苦痛度を下げる治療が行われます。「治らないから放置」ではなく、耳鼻科に相談することをおすすめします。
Q. 耳の中をいじると気持ちいいのは大丈夫?
A. 耳掃除が「気持ちよい」のは外耳道の皮膚に迷走神経の枝が分布しているためです。ただし、過剰な耳掃除は外耳道の皮脂を取りすぎ・皮膚を傷つけ、外耳炎・慢性外耳道湿疹の原因になります。月1〜2回、入り口付近のみを綿棒で軽く拭く程度が推奨されます。
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監修:長友恭平(精神保健指定医/標榜:精神科・心療内科)
参考にした主な情報源
この記事は、各学会の診療ガイドライン・厚生労働省の公開情報・Minds ガイドラインライブラリ・標準的な医学教科書をもとに、医師監修のうえ作成しています。