足の関節が急に腫れて痛い——痛風・偽痛風で整形外科か内科かを整理する
監修:長友恭平(精神保健指定医/標榜:精神科・心療内科)なぜ精神科・心療内科の医師が全科を監修しているの?
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昨夜まで何ともなかったのに、朝起きたら足の親指付け根が赤く腫れて歩けないほど痛い——こうした急性関節炎の発作は「痛風」を疑わせます。一方、高齢の方の膝や手首に似たような発作が起きることもあり、これは「偽痛風」と呼ばれます。どちらも整形外科でも内科でも診てもらえますが、原因の管理は内科(代謝・腎臓)が担当します。症状別の受診先のめやすを整理します。
結論:まずどっち?
| こんなとき | おすすめの初診科 |
|---|---|
| 足の親指付け根・足首が急に赤く腫れて激痛(初回) | 内科または整形外科(どちらでも可) |
| 痛風発作の既往あり・尿酸値の管理中 | かかりつけ内科(薬の調整も同時に) |
| 膝・手首が突然腫れて熱感(高齢者) | 整形外科(偽痛風・化膿性関節炎の鑑別が必要) |
| 発熱を伴う関節の腫れ | 内科または整形外科(化膿性関節炎の除外が急務) |
| 尿酸値を下げる薬を始めたい | 内科(かかりつけ医または腎臓内科) |
| 関節がひどく壊れている・手術を検討 | 整形外科 |
痛風とは何か
痛風は、血液中の尿酸値が高い状態(高尿酸血症)が続くことで、尿酸の結晶が関節や周囲の組織に沈着し、急性の炎症(痛風発作)を引き起こす疾患です。
痛風の特徴
- 好発部位:足の親指付け根(第1中足趾節関節)が最多。足首・かかと・膝にも起こる
- 発作の始まり方:突然(多くは夜間〜早朝)、急速に悪化
- 痛みの強度:「今まで経験した中で最も激しい痛み」と表現されることも
- 発症の誘因:飲酒・過食・脱水・激しい運動・手術・利尿薬の服用
- 自然経過:治療なしでも1〜2週間で収まるが、繰り返す
- 男性に多く(女性は閉経後に増加)、40〜60代が好発年齢
尿酸値が高くなる原因
- プリン体の多い食品(内臓・あん肝・イクラ・ビール等)の過剰摂取
- 腎機能低下(尿酸の排泄障害)
- 遺伝的要因(尿酸産生過剰体質)
- 肥満・メタボリックシンドローム
偽痛風とは何か
偽痛風は、ピロリン酸カルシウム(CPPD)の結晶が関節に沈着して炎症を起こす疾患です。痛風と症状が似ていますが、別の病態です。
偽痛風の特徴
- 好発部位:膝(最多)、手首、肩、股関節(痛風よりも大関節が多い)
- 好発年齢:高齢者(60歳以降に急増)
- 原因:加齢による軟骨石灰化、副甲状腺機能亢進症、低マグネシウム血症
- レントゲンで関節軟骨に石灰化(CPPD沈着)を認める
- 関節液中のCPPD結晶を確認して診断
整形外科でできること
整形外科は関節の炎症・腫れの診断と、痛みの急性期管理が得意です。
整形外科が担当する主な役割
- 関節穿刺(関節から液体を抜く)による診断:痛風・偽痛風・化膿性関節炎の鑑別に必要
- 急性発作時の消炎鎮痛処置
- 偽痛風の診断・治療(整形外科が主体となることが多い)
- 痛風結節(慢性期に形成される尿酸塩の塊)の切除
- 関節破壊が進行した場合の手術治療
化膿性関節炎との鑑別が急務
発熱を伴う関節の腫れは、細菌感染による化膿性関節炎の可能性もあります。化膿性関節炎は放置すると関節を破壊する緊急疾患です。整形外科での関節穿刺・関節液培養が鑑別の要です。
内科でできること
内科は高尿酸血症の長期管理と、痛風に合併しやすい生活習慣病の一括管理が得意です。
内科(かかりつけ医・代謝内科・腎臓内科)が担当する主な役割
- 血液・尿検査による尿酸値・腎機能評価
- 高尿酸血症の治療(尿酸降下薬:アロプリノール・フェブキソスタット等)
- 痛風発作時の消炎鎮痛薬処方
- 生活指導(食事・アルコール・水分摂取)
- 高血圧・糖尿病・脂質異常症・メタボリックシンドロームとの一体管理
- 利尿薬など尿酸値を上げる薬の調整
症状で考える受診先のめやす
| 症状 | 考えられる原因 | 受診先 |
|---|---|---|
| 足の親指付け根の急激な腫れ・発赤・激痛 | 痛風発作 | 内科または整形外科 |
| 膝・手首の腫れ(高齢者・発熱なし) | 偽痛風 | 整形外科 |
| 発熱+関節の腫れ+熱感 | 化膿性関節炎・痛風発作 | 整形外科(緊急性)または救急内科 |
| 痛風発作の既往+尿酸値管理中 | 痛風発作再燃 | かかりつけ内科 |
| 尿酸値が高いと言われた(無症状) | 高尿酸血症 | 内科(生活指導・薬剤検討) |
| 足に塊(痛風結節)ができた | 慢性痛風結節 | 整形外科 |
こんなときはすぐに医療機関を
- 発熱を伴う関節の腫れ → 化膿性関節炎の可能性(放置で関節が破壊される)
- 複数の関節が同時に腫れる → 関節リウマチ・ウイルス性関節炎等の鑑別が必要
- 痛みで体重がかけられない → 骨折との鑑別が必要
発熱を伴う関節の腫れは当日中に整形外科または救急へ受診してください。
よくある質問
Q. 痛風は整形外科と内科、どっちに行けばいいですか?
A. 急性発作(急激に腫れて痛い)はどちらでも対応できます。ただし長期的な尿酸値の管理は内科(かかりつけ医・代謝内科)が担当します。尿酸値を下げる薬の継続処方を受けている場合は、かかりつけ内科に発作のことを伝えるのが効率的です。整形外科は関節液を抜いて診断する(関節穿刺)必要がある場合や、偽痛風・感染性関節炎との鑑別が必要な場合に適しています。
Q. 痛風発作が起きたとき、すぐに尿酸を下げる薬を飲んではいけないと聞きました。なぜですか?
A. 急性発作中に尿酸降下薬を開始または中断すると、尿酸値が急激に変動して発作が遷延・悪化することがあります。発作中の対処は消炎鎮痛薬(NSAIDs・コルヒチン等)が中心で、尿酸降下薬の開始・変更は発作が落ち着いてから行います。ただし既に服用中の尿酸降下薬は中断しないのが原則です。詳細は必ず主治医に確認してください。
Q. 痛風ではないと言われたのに足の指が腫れます。何科に行けばいいですか?
A. 痛風以外にも、関節リウマチ・変形性関節症・骨折(疲労骨折含む)・外反母趾の炎症・感染症など様々な原因が考えられます。整形外科でX線検査・血液検査(リウマチ因子等)を受けて原因を調べることをお勧めします。
Q. ビールをやめたら尿酸値は下がりますか?
A. ビールはプリン体を含むうえ、アルコール自体も尿酸産生増加・排泄低下の両面から尿酸値を上げます。節酒・禁酒は尿酸値改善に有効ですが、すでに高尿酸血症や痛風発作歴がある場合は薬物療法も必要なことが多いです。食事・生活指導と薬物療法の組み合わせについては内科医に相談してください。
まとめ
- 急性の関節の腫れ・発赤・激痛は整形外科でも内科でも初期対応可能
- 発熱を伴う関節の腫れは化膿性関節炎の除外が急務(当日受診)
- 高尿酸血症の長期管理・尿酸降下薬の処方は内科が担当
- 高齢者の膝・手首の発作は偽痛風の可能性(整形外科での診断が確実)
- 痛風は高血圧・糖尿病・腎機能低下とセットで管理することが重要
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監修:長友恭平(精神保健指定医/標榜:精神科・心療内科) このページの内容は診療ガイドラインや標準的な医学教科書をもとにまとめた一般情報です。
参考にした主な情報源
この記事は、各学会の診療ガイドライン・厚生労働省の公開情報・Minds ガイドラインライブラリ・標準的な医学教科書をもとに、医師監修のうえ作成しています。