体重が急に増えた・減った——内科と内分泌科どちらへ?甲状腺・ホルモン異常の受診先
監修:長友恭平(精神保健指定医/標榜:精神科・心療内科)なぜ精神科・心療内科の医師が全科を監修しているの?
監修医の専門は精神科・心療内科ですが、当サイトは内科・整形外科・耳鼻咽喉科・眼科・皮膚科・小児科・泌尿器科など12診療科を扱います。専門外の領域は各学会の最新ガイドラインに準拠して作成し、判断に迷う記述は記事を保留・修正しています。くわしくは監修方針をご覧ください。
⚠️ このサイトは診断を行うものではありません。受診先を考えるための参考情報です。
「食べていないのに太る」「食べているのにやせる」「疲れやすい・動悸がする・寒がりになった」——意図しない体重変化や倦怠感の背景には、甲状腺・副腎・下垂体などのホルモン異常が隠れていることがあります。「内科か内分泌科か」どちらに行けばよいかをケース別に整理します。
結論:まずどっち?
| こんなとき | おすすめの初診科 |
|---|---|
| 体重変化(増加・減少)+倦怠感・むくみ・動悸などが続く | 内科(かかりつけ)でまず評価 |
| 首の腫れ・のどの違和感 | 内科または耳鼻科 |
| 甲状腺の病気をすでに診断されている | 内分泌科(内科の専門外来) |
| 糖尿病の薬を使っているのに体重が急に変わった | 糖尿病内科・内科 |
| 副腎・下垂体・ホルモン異常が疑われる | 内分泌科(専門的な検査が必要) |
| 体重減少+発熱・血便・リンパ節腫大 | 内科(悪性疾患の除外が急務) |
ホルモン(内分泌)の異常が体重変化に関わるしくみ
ホルモンは代謝・エネルギー消費・食欲・水分バランスを広く調整しています。そのため、ホルモンバランスが崩れると体重が急に変わります。
体重が増えるホルモン異常
甲状腺機能低下症(橋本病など)
- 甲状腺ホルモンが不足 → 代謝が落ちる
- 症状: 体重増加・むくみ(顔・手足)・倦怠感・寒がり・便秘・脱毛・月経不順・動作が緩慢
- 有病率: 女性で約2〜3%(女性に多い)
- 代表的な原因: 橋本病(自己免疫性甲状腺炎)
- 血液検査: TSH上昇・FT4低下・抗TPO抗体陽性
クッシング症候群
- 副腎皮質ホルモン(コルチゾール)の過剰産生
- 症状: 中心性肥満(お腹だけ太る)・満月様顔貌(顔が丸くなる)・皮膚線条(赤紫の伸び線)・筋力低下・高血圧・血糖上昇
- 原因: 副腎の腫瘍・下垂体腫瘍(クッシング病)・ステロイド薬の長期使用
- 受診先: 内分泌科
インスリノーマ(膵島細胞腫瘍)
- インスリン過剰産生 → 低血糖 → 食べすぎ → 体重増加
- 症状: 低血糖発作(冷や汗・手の震え・意識障害)が食前や運動後に起こる
- 受診先: 内科・内分泌科
体重が減るホルモン異常
甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)
- 甲状腺ホルモンが過剰 → 代謝が上がりすぎる
- 症状: 体重減少(食欲はある・むしろ増える)・動悸・手の震え・発汗多い・暑がり・下痢傾向・眼球突出(バセドウ病)・頻脈・不眠
- 有病率: 約0.5〜1%(若い女性に多い)
- 血液検査: TSH低下・FT4上昇・TRAb陽性(バセドウ病)
1型糖尿病(初発・コントロール不良)
- インスリン絶対的不足 → 体の組織が分解される
- 症状: 急激な体重減少・口渇・多尿・疲れやすい
- 受診先: 糖尿病内科・内科
副腎不全(アジソン病)
- 副腎皮質ホルモン(コルチゾール・アルドステロン)の低下
- 症状: 体重減少・疲れやすい・血圧低下・食欲不振・皮膚の黒ずみ
- 受診先: 内分泌科
内科(かかりつけ医)で最初に評価する
体重変化・倦怠感などの症状があっても、最初からホルモン異常と決まっているわけではありません。まずかかりつけ内科で基本的な評価を行うことで、専門科への正しい方向性が決まります。
かかりつけ内科で実施できる初期検査
- 血液検査: TSH・FT4(甲状腺機能)・血糖・HbA1c(糖尿病)・肝機能・腎機能・血算
- 尿検査: 糖・タンパク
- 心電図(頻脈・不整脈の確認)
内科から内分泌科への紹介が必要な場合
- 甲状腺機能に異常が見つかった(TSH・FT4の異常)
- 副腎機能検査が必要(コルチゾール・ACTH等)
- 下垂体疾患が疑われる(成長ホルモン・プロラクチン等)
- 内分泌腫瘍が疑われる(MRI・CT等の精査が必要)
内分泌科・内分泌専門医
内分泌科(内分泌内科)は、甲状腺・副腎・下垂体・膵臓などのホルモン分泌を専門にする診療科です。
内分泌科が担当する主な疾患
- 甲状腺機能亢進症(バセドウ病)・甲状腺機能低下症(橋本病)
- 甲状腺がん(発見時は外科と連携)
- 副腎疾患(クッシング症候群・原発性アルドステロン症・褐色細胞腫等)
- 下垂体疾患(先端巨大症・クッシング病・プロラクチノーマ等)
- 副甲状腺疾患(高カルシウム血症等)
- 性腺疾患(多嚢胞性卵巣症候群等)
- 1型・2型糖尿病の専門管理(糖尿病内科として)
注意: 内分泌科は全ての病院に設置されているわけではありません。総合病院・大学病院に多く、近くにない場合はかかりつけ内科から紹介してもらうのが現実的です。
症状で考える受診先のめやす
| 症状 | 考えられる原因 | 受診先 |
|---|---|---|
| 体重増加+むくみ+倦怠感+寒がり | 甲状腺機能低下症 | 内科(TSH検査)→内分泌科 |
| 体重減少+動悸+手の震え+暑がり | 甲状腺機能亢進症(バセドウ病) | 内科(TSH検査)→内分泌科 |
| お腹だけ太る+顔が丸い+皮膚に赤紫の線 | クッシング症候群 | 内科→内分泌科 |
| 体重減少+口渇+多尿(急性) | 糖尿病(特に1型) | 内科・糖尿病内科 |
| 体重変化+リンパ節の腫れ・発熱 | 悪性リンパ腫・悪性腫瘍 | 内科(早期精査が重要) |
| 首に触れると腫れがある | 甲状腺腫・甲状腺結節 | 内科または耳鼻科 |
| 血圧が高い+頭痛の発作+発汗 | 褐色細胞腫(稀だが緊急性) | 内科→内分泌科 |
甲状腺疾患の注意点
甲状腺疾患は女性に多く、症状が「更年期障害」「うつ病」「ストレス反応」と混同されることがあります。
見分けのヒント
- 甲状腺機能低下症: むくみ・寒がり・便秘・脱毛・月経不順 → 更年期と似るが血液検査(TSH)で区別可能
- 甲状腺機能亢進症: 動悸・不眠・発汗・体重減少 → うつの「焦燥型」や不安症と似ることがある
「なんとなく体調が悪い・疲れが取れない・体重が変わった」という場合、甲状腺機能の血液検査(TSH・FT4)は比較的安価で簡単に受けられます。かかりつけ医に相談してみてください。
よくある質問
Q. ダイエットしていないのに体重が減っています。どの科に行けばいいですか?
A. 意図しない体重減少(6〜12ヶ月で5%以上)は医学的に評価が必要なサインです。まずかかりつけ内科を受診し、血液検査・甲状腺機能検査・血糖・腫瘍マーカー等の評価を受けることをお勧めします。体重減少の原因には甲状腺機能亢進症・糖尿病・悪性腫瘍・慢性感染症・うつ病など多岐にわたります。
Q. 甲状腺の病気は内科と外科どちらが診るのですか?
A. 甲状腺疾患の内科的管理(薬物療法・経過観察)は内科(内分泌科)が担当します。甲状腺がん・甲状腺腫瘍の手術は外科(内分泌外科・頭頸部外科)が担当します。バセドウ病でも内科治療が難しい場合や甲状腺の体積が非常に大きい場合に手術が選択されることがあります。
Q. バセドウ病と診断されました。何科で治療しますか?
A. バセドウ病の治療(抗甲状腺薬・放射性ヨウ素治療・手術)は内分泌科が中心となります。かかりつけ内科で初期診断を受けてから内分泌科に紹介されることが多いです。眼球突出(バセドウ眼症)が強い場合は眼科との連携も必要になります。
Q. 内分泌科がない病院でも甲状腺を診てもらえますか?
A. 内科(総合内科・代謝内科)でも甲状腺機能の検査・診断・基本的な治療は行えます。ただし複雑な疾患(クッシング症候群・副腎腫瘍・下垂体疾患など)には内分泌専門医のいる施設が必要です。かかりつけ医に紹介状を書いてもらうのが現実的です。
まとめ
- 意図しない体重変化はまずかかりつけ内科でTSH・血糖などの血液検査を受ける
- 体重増加+寒がり・倦怠感・むくみ → 甲状腺機能低下症を疑い内科へ
- 体重減少+動悸・手の震え・暑がり → 甲状腺機能亢進症を疑い内科へ
- 中心性肥満(お腹だけ太る)+特徴的な外見変化 → クッシング症候群を疑い内分泌科へ
- 甲状腺の異常は血液検査(TSH・FT4)で比較的簡単に調べられる
- ホルモンの専門的な精査が必要な場合は内分泌科・総合病院への紹介が必要
関連ページ
監修:長友恭平(精神保健指定医/標榜:精神科・心療内科) このページの内容は診療ガイドラインや標準的な医学教科書をもとにまとめた一般情報です。
参考にした主な情報源
この記事は、各学会の診療ガイドライン・厚生労働省の公開情報・Minds ガイドラインライブラリ・標準的な医学教科書をもとに、医師監修のうえ作成しています。