鼻水・鼻づまりが続く——耳鼻科と呼吸器内科どちらへ行くべきか
監修:長友恭平(精神保健指定医/標榜:精神科・心療内科)なぜ精神科・心療内科の医師が全科を監修しているの?
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毎年花粉の季節になると鼻水が止まらない、一年中鼻づまりに悩んでいる、鼻の奥がいつもすっきりしない——鼻の症状は日常生活の質を大きく下げますが、「耳鼻科か内科(呼吸器内科)、どちらに行けばいい?」と迷う方も多くいます。基本的には耳鼻咽喉科が主体ですが、症状によっては呼吸器内科の出番もあります。
結論:まずどっち?
| こんなとき | おすすめの初診科 |
|---|---|
| 鼻水・鼻づまり・くしゃみが主症状 | 耳鼻咽喉科(鼻の専門) |
| 花粉症・アレルギー性鼻炎(毎年繰り返す) | 耳鼻咽喉科またはアレルギー科 |
| 副鼻腔炎(ちくのう症)の疑い | 耳鼻咽喉科 |
| 後鼻漏(鼻水がのどに落ちる)で咳が続く | 耳鼻咽喉科(後鼻漏が原因の咳を確認) |
| 鼻症状+喘鳴(ゼーゼー)・息切れ | 呼吸器内科(喘息の合併を除外) |
| 鼻の症状+発熱+顔面の痛み | 耳鼻咽喉科(急性副鼻腔炎の可能性) |
耳鼻咽喉科が担当する鼻の疾患
鼻の粘膜・副鼻腔・嗅覚などは耳鼻咽喉科の専門領域です。内視鏡やX線・CT検査で副鼻腔内部を直接評価できるため、鼻の症状は基本的に耳鼻咽喉科が最も詳しく診ることができます。
耳鼻咽喉科が主体となる鼻の病気
アレルギー性鼻炎
- 花粉・ハウスダスト・ダニ・ペットの毛などが原因のアレルギー反応
- 三主徴:くしゃみ・水様性鼻水・鼻づまり
- 通年性(ダニ・ハウスダスト等)と季節性(花粉症)に分かれる
- 治療: 抗ヒスタミン薬・鼻噴霧ステロイド・抗ロイコトリエン薬。根治療法として舌下免疫療法(スギ・ダニ)
副鼻腔炎(ちくのう症)
- 副鼻腔(鼻の周囲にある空洞)の粘膜に炎症が起きる
- 急性副鼻腔炎: 発熱・鼻づまり・膿性鼻水・顔面の圧迫感・歯の痛み。多くはウイルス・細菌感染後
- 慢性副鼻腔炎: 12週以上続く。嗅覚障害・頭重感・後鼻漏(鼻水がのどに流れる感覚)
- 好酸球性副鼻腔炎: 難治性。両側の鼻茸(ポリープ)・嗅覚障害が特徴
- 治療: 抗菌薬・鼻噴霧ステロイド・粘液溶解薬。慢性・難治例は手術(内視鏡下副鼻腔手術)
後鼻漏(後鼻漏症候群)
- 鼻の分泌物がのどの後ろに流れ落ちる症状
- 慢性的な咳の原因として重要(後鼻漏症候群)
- 副鼻腔炎・アレルギー性鼻炎・非アレルギー性鼻炎が原因になる
- 咳が主訴でも鼻が根本の場合があり、耳鼻科受診で解決することがある
鼻茸(鼻ポリープ)
- 鼻粘膜が慢性炎症で膨らんだポリープ
- 高度な鼻づまり・嗅覚障害の原因になる
- 手術(内視鏡下摘出)が必要なことが多い
呼吸器内科との関係:「鼻と気道」はつながっている
鼻と肺は上気道・下気道として解剖学的につながっており、「one airway, one disease」という概念があります。アレルギー性鼻炎のある人は喘息を合併しやすく、副鼻腔炎は喘息の管理を難しくします。
呼吸器内科が関わるケース
- 鼻症状+喘鳴(ゼーゼー・ヒューヒュー): 喘息の合併が疑われる。呼吸器内科での評価が必要
- 鼻症状+労作時息切れ: COPD(慢性閉塞性肺疾患)の可能性
- EGPA(好酸球性多発血管炎性肉芽腫症): 副鼻腔炎+喘息+末梢神経障害を来す難病
- 喘息の長期管理中に鼻症状が悪化: 呼吸器内科・耳鼻科の連携が理想
後鼻漏からの慢性咳
後鼻漏が原因で咳が続く場合、呼吸器内科で喘息を除外したのちに耳鼻科で後鼻漏の治療を行うことで咳が改善することがあります。咳の原因の精査(喘息・GERD・後鼻漏症候群の三大原因)が必要な場合は、呼吸器内科と耳鼻科の両方を受診することもあります。
症状で考える受診先のめやす
| 症状 | 考えられる疾患 | 受診先 |
|---|---|---|
| 毎年春・秋に水様性鼻水・くしゃみ | アレルギー性鼻炎(花粉症) | 耳鼻科またはアレルギー科 |
| 一年中鼻づまり・くしゃみ | 通年性アレルギー性鼻炎 | 耳鼻科またはアレルギー科 |
| 顔の痛み・頭が重い+膿性鼻水 | 急性副鼻腔炎 | 耳鼻科 |
| 嗅覚障害・鼻づまり(長期間) | 慢性副鼻腔炎・鼻茸 | 耳鼻科 |
| 鼻水がのどに落ちる感覚+慢性咳 | 後鼻漏症候群 | 耳鼻科(まず) |
| 鼻症状+ゼーゼー・息切れ | アレルギー性鼻炎+喘息の合併 | 呼吸器内科または耳鼻科(両科の連携) |
| コロナ罹患後に嗅覚が戻らない | 嗅覚障害 | 耳鼻科 |
舌下免疫療法について
アレルギー性鼻炎(スギ・ダニ)には根治を目指す「舌下免疫療法」があります。
- 毎日舌の下に少量のアレルゲンエキスを投与し、3〜5年間継続する治療
- 花粉症(スギ)とダニアレルギー性鼻炎に保険適用あり
- 治療開始は耳鼻咽喉科またはアレルギー科
- 12〜19歳以下の方や、5歳以上の小児でも適応あり
- 効果が出るまで数ヶ月かかるため、花粉シーズン前(秋〜冬)の開始が推奨される
よくある質問
Q. アレルギー性鼻炎は内科でも診てもらえますか?
A. 抗ヒスタミン薬(市販薬・処方薬)の処方は内科・かかりつけ医でも行うことができます。しかし、副鼻腔のX線・CT検査、鼻内視鏡検査、舌下免疫療法の開始・管理、手術の検討などは耳鼻咽喉科が必要です。「とりあえず薬をもらいたい」場合はかかりつけ内科、「しっかり原因を調べて治療したい」場合は耳鼻科が向いています。
Q. 花粉症と副鼻腔炎(ちくのう症)はどこが違いますか?
A. 花粉症(アレルギー性鼻炎)はアレルゲンによる免疫反応で、くしゃみ・水様性鼻水・鼻づまりが三主徴です。副鼻腔炎は副鼻腔(鼻の周囲の空洞)の感染・炎症で、膿性鼻水・顔面の圧迫感・嗅覚障害が特徴です。両方を合併することもあります。耳鼻科でX線・CT検査を受けることで区別できます。
Q. 後鼻漏による咳は何科で治療しますか?
A. まず耳鼻咽喉科を受診して後鼻漏の原因(副鼻腔炎・アレルギー性鼻炎等)を診断し、鼻の治療を行います。鼻の治療で咳が改善することが多いです。ただし、喘息やGERD(逆流性食道炎)など他の原因が混在することもあるため、耳鼻科での治療と並行して呼吸器内科を受診することもあります。
Q. 子どもの鼻水・鼻づまりは小児科と耳鼻科どちらへ?
A. 発熱・体調不良を伴う場合はまず小児科(感染症の全身管理)、鼻症状が主体で発熱がない場合や副鼻腔炎・アレルギー性鼻炎が疑われる場合は耳鼻科が向いています。繰り返す中耳炎(急性中耳炎・滲出性中耳炎)も耳鼻科が専門です。小児科と耳鼻科の両方を上手に使い分けることが重要です。
まとめ
- 鼻の症状が主体の場合、基本的に耳鼻咽喉科が最初の受診先
- 花粉症・アレルギー性鼻炎は耳鼻科またはアレルギー科で診断・治療
- 副鼻腔炎・鼻茸の確定診断にはCT・内視鏡検査が必要 → 耳鼻科
- 後鼻漏による慢性咳は耳鼻科での鼻治療で改善することがある
- 鼻症状+喘鳴・息切れがある場合は喘息の合併を疑い呼吸器内科も受診
- 根治を目指すなら舌下免疫療法の適応を耳鼻科に相談
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監修:長友恭平(精神保健指定医/標榜:精神科・心療内科) このページの内容は診療ガイドラインや標準的な医学教科書をもとにまとめた一般情報です。
参考にした主な情報源
この記事は、各学会の診療ガイドライン・厚生労働省の公開情報・Minds ガイドラインライブラリ・標準的な医学教科書をもとに、医師監修のうえ作成しています。