健診の数値が異常だった——どの科に行けばいい?項目別受診ガイド
監修:長友恭平(精神保健指定医/標榜:精神科・心療内科)なぜ精神科・心療内科の医師が全科を監修しているの?
監修医の専門は精神科・心療内科ですが、当サイトは内科・整形外科・耳鼻咽喉科・眼科・皮膚科・小児科・泌尿器科など12診療科を扱います。専門外の領域は各学会の最新ガイドラインに準拠して作成し、判断に迷う記述は記事を保留・修正しています。くわしくは監修方針をご覧ください。
⚠️ このサイトは診断を行うものではありません。受診先を考えるための参考情報です。
健康診断の結果票を開いたとき「要精密検査」「E判定」「要治療」などの文字が並んでいると、どこに行けばいいのか迷います。ここでは主要な検査項目ごとに、受診先の目安を整理します。
結論:項目別 受診先早見表
| 異常があった項目 | 受診先の目安 |
|---|---|
| 血圧(収縮期≥160 または拡張期≥100) | 内科・循環器内科 |
| 血糖・HbA1c(HbA1c≥6.5%) | 内科(糖尿病内科・代謝内科) |
| コレステロール・中性脂肪 | 内科 |
| 尿酸値(≥8.0 mg/dL) | 内科(痛風・関節炎があれば整形外科も) |
| 肝機能(AST/ALT/γ-GTPの上昇) | 内科・消化器内科 |
| 腎機能(クレアチニン・eGFR) | 内科・腎臓内科 |
| 尿たんぱく・尿潜血 | 内科・泌尿器科 |
| 心電図異常(不整脈・ST変化) | 循環器内科 |
| 貧血(Hb低値) | 内科(女性は婦人科も) |
| 甲状腺機能(TSH異常) | 内科(内分泌内科) |
| 便潜血陽性 | 消化器内科(大腸内視鏡) |
| 胸部レントゲン異常 | 内科・呼吸器内科 |
| 腹部超音波異常(肝・腎・胆) | 消化器内科・泌尿器科 |
| 眼底検査異常 | 眼科(高血圧・糖尿病の精密検査) |
項目別の詳細
血圧
健診での測定値が高かった場合、まずは内科・循環器内科への受診が推奨されます。一度の測定で高くても「白衣高血圧」(緊張による一時的な上昇)の可能性もあるため、自宅での複数回の測定結果も持参すると診察に役立ちます。
収縮期血圧180mmHg以上や拡張期血圧110mmHg以上、または頭痛・視力障害・嘔吐をともなう場合は速やかな受診が必要です。
血糖・HbA1c
空腹時血糖126mg/dL以上、またはHbA1c6.5%以上は糖尿病の診断基準の一つです。**内科(糖尿病内科・代謝内科)**を受診します。「境界型」と判定された場合も、放置すると糖尿病に進行する可能性があるため、生活習慣の相談も含めて受診が勧められます。
コレステロール・中性脂肪(脂質異常症)
LDLコレステロール高値、中性脂肪高値、HDLコレステロール低値の組み合わせがある場合は内科を受診します。生活習慣の改善や薬物療法の必要性を評価してもらいます。
尿酸値
尿酸値が7.0mg/dLを超えると高尿酸血症です。8.0mg/dL以上では痛風発作のリスクが高まるため、内科での管理が推奨されます。すでに足の親指の付け根が腫れて痛むなど痛風発作の症状がある場合は整形外科または内科を受診します。
肝機能(AST・ALT・γ-GTP)
ALT(GPT)・AST(GOT)の上昇は肝細胞の炎症を示すことがあります。脂肪肝・アルコール性肝障害・ウイルス性肝炎などが考えられ、内科・消化器内科への受診が推奨されます。γ-GTPの単独上昇はアルコールや薬剤性であることも多いです。
腎機能(クレアチニン・eGFR)
クレアチニンの上昇やeGFRの低下は腎臓のろ過機能の低下を示します。内科・腎臓内科を受診します。高血圧・糖尿病が背景にある場合は、それらの管理とあわせて診てもらうことが重要です。
尿たんぱく・尿潜血
尿たんぱくは腎臓の障害、尿潜血は腎臓・尿管・膀胱の出血を示す可能性があります。内科での精密検査(再検・尿沈渣・超音波)を行います。膀胱がんなどの除外が必要な場合は泌尿器科を紹介されることがあります。
心電図異常
健診で心電図の異常(ST低下・T波異常・不整脈・左室肥大など)を指摘された場合は循環器内科を受診します。「無症候性」でも将来の心疾患リスクになる場合があるため、放置しないことが大切です。
便潜血陽性
大腸がん・ポリープ・痔などが考えられます。痔があってもがんと区別するために大腸内視鏡検査が推奨されます。消化器内科への受診が最初のステップです。40歳以上では特に精密検査が勧められます。
胸部レントゲン異常
「要精密検査」の判定を受けた場合、内科・呼吸器内科を受診します。肺がん・肺炎・肺結核・心肥大・胸水など様々な原因があり得ます。CTスキャンによる精密検査が行われることが多いです。
「要経過観察」「要精密検査」「要治療」の違い
健診の判定区分は機関によって異なりますが、おおむね次のように解釈できます。
- 要経過観察:今すぐ治療は必要ないが次回健診まで様子を見る。数値によっては生活習慣の改善で正常化できる場合があります。
- 要精密検査(要受診):健診の検査だけでは判断できないため、医療機関でより詳しい検査が必要です。早めの受診が推奨されます。
- 要治療(治療中):治療が必要な状態、または治療中の継続管理が必要な状態です。指定された医療機関への受診を優先してください。
受診のタイミング
- すぐに受診:「要治療」「D・E判定」の場合、または胸痛・息切れ・むくみなどの症状がともなう場合
- 1〜2週間以内に受診:「要精密検査」の場合
- 次回定期健診まで様子見も可:「要経過観察(C判定)」で症状がない場合
ただし「症状がないから大丈夫」という判断は必ずしも正しくありません。高血圧・糖尿病・脂質異常症・慢性腎臓病は「無症候」のまま進行することが多い疾患です。
よくある質問
Q. 健診で引っかかったのに症状がないのですが、受診する必要がありますか?
A. 高血圧・糖尿病・脂質異常症・腎臓病は、症状がないまま進行して心筋梗塞・脳卒中・透析などに至るリスクがある疾患です。「要精密検査」「要治療」の判定が出ている場合は、症状がなくても受診することが推奨されます。
Q. かかりつけ医と専門科、どちらに行けばいいですか?
A. 多くの場合、最初はかかりつけの内科を受診して、必要に応じて専門科へ紹介してもらう流れが効率的です。複数の項目に異常がある場合(血圧+血糖+脂質など)は、かかりつけ医が全体を管理しつつ個別に専門科へ紹介するケースが多いです。
Q. 健診の数値が毎回少しだけ高いのですが、様子見でいいですか?
A. 「毎回少しだけ高い」状態が続いている場合、それ自体がリスクの継続を意味します。特に血圧・血糖・LDLコレステロールは長期の累積曝露が動脈硬化を進めると考えられています。「境界型」「要経過観察」の判定でも一度かかりつけ医に相談することが一つの選択肢です。
Q. 尿潜血が出たのに症状がありません。受診は必要ですか?
A. 尿潜血は運動後や月経前後でも出ることがありますが、繰り返し陽性になる場合は腎臓・尿管・膀胱の精密検査(超音波・尿細胞診など)が推奨されます。症状がなくても膀胱がんや腎がんの早期発見につながる可能性があるため、内科または泌尿器科への受診が勧められます。
まとめ
- 便潜血陽性→消化器内科(大腸内視鏡)
- 血圧・心電図異常→循環器内科
- 血糖・コレステロール・肝機能・腎機能→内科
- 尿たんぱく・尿潜血→内科か泌尿器科
- 「要治療」「要精密検査」は症状がなくても早めに受診
関連ページ
監修:長友恭平(精神保健指定医/標榜:精神科・心療内科) このページの内容は診療ガイドラインや標準的な医学教科書をもとにまとめた一般情報です。
参考にした主な情報源
この記事は、各学会の診療ガイドライン・厚生労働省の公開情報・Minds ガイドラインライブラリ・標準的な医学教科書をもとに、医師監修のうえ作成しています。