排尿の症状が続くとき——頻尿・排尿時痛・残尿感・血尿の受診先(泌尿器科 / 内科)の選び方
監修:長友恭平(精神保健指定医/標榜:精神科・心療内科)なぜ精神科・心療内科の医師が全科を監修しているの?
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⚠️ このサイトは診断を行うものではありません。受診先を考えるための参考情報です。排尿の症状は感染・前立腺・膀胱の働き・結石・全身の病気など多くの原因で起こり、原因によって相談する科や急ぎ方が変わります。
「トイレが近い」「排尿のときに痛い」「出し切れた感じがしない」「尿に血が混じった」——排尿の症状と一口に言っても、どんな症状が・いつから・どんなふうに続くかで、考えられる原因も受診の急ぎ方も変わります。多くは膀胱炎や膀胱・前立腺の働きによるものですが、なかには早めの評価が必要なものも含まれています。
このページでは、(1) すぐに受診・救急受診を考えるレッドフラグ、(2) 排尿症状の分け方(蓄尿・排尿・排尿後)、(3) パターン別に考えられる病気、(4) 泌尿器科・内科の振り分け、(5) 自分でできる対処とやってはいけないこと、(6) 受診前メモ、(7) よくある質問——の順で整理します。
1. 最優先で確認したいサイン(レッドフラグ)
次のような排尿の症状は、原因の評価を急ぐ必要があるとされています。当サイトの結果にかかわらず、早めの受診、または症状が強いときは救急外来・119を検討してください。
- 38℃以上の発熱+片側の側腹部〜背部の痛み・たたくと響く痛み——腎盂腎炎(腎臓の感染)の可能性
- 尿に血が混じり、強い痛みをともなう——尿路結石などの可能性
- 痛みをともなわない血尿(無痛性血尿)——膀胱の病気などの評価が必要なことがあるサイン
- 尿が出したくても出せない(急性尿閉)・下腹部が強く張って苦しい
- 発熱・寒気・ぐったりするなど全身状態が悪い(特に高齢者・妊娠中・糖尿病のある方)
とくに発熱+片側の背部の痛みは、膀胱の炎症が腎臓に及んだ腎盂腎炎の可能性があり、様子を見ずに早めに医療機関へ相談してください。痛みのない血尿は、症状が軽くても一度きちんと評価しておく目安となるサインです。
2. 排尿症状は「蓄尿」「排尿」「排尿後」で分けて考える
受診先や原因を考えるとき、症状がおしっこを溜める段階・出す段階・出した後のどこで起きているかで整理すると絞り込みやすくなります。
| 区分 | 主な症状 | 考えやすい背景 |
|---|---|---|
| 蓄尿症状(溜める段階) | 頻尿、夜間の頻尿、尿意切迫感、我慢できず漏れる | 過活動膀胱、膀胱炎、前立腺肥大の蓄尿症状 など |
| 排尿症状(出す段階) | 尿の勢いの低下、出始めに時間がかかる、途中で途切れる | 前立腺肥大症(男性)など |
| 排尿後症状(出した後) | 残尿感、排尿後にまた少し漏れる | 前立腺肥大症、膀胱の出しにくさ など |
| 痛み・血尿 | 排尿時痛、血尿 | 膀胱炎、尿路結石、膀胱の病気 など |
たとえば、排尿時痛+頻尿+残尿感は膀胱炎でみられやすい組み合わせ、尿の勢いの低下+残尿感+夜間頻尿は前立腺肥大症(男性)でみられやすい組み合わせ、というように、症状のまとまりで考えると整理しやすくなります。年齢・性別も手がかりになり、女性の急な排尿時痛+頻尿は膀胱炎、50歳以上の男性の出しにくさは前立腺肥大症が背景になりやすいとされています。
3. パターン別に考えられる病気
排尿時痛・頻尿・残尿感が急に出た(特に女性)
- 急性単純性膀胱炎:排尿時痛、頻尿、尿意切迫、残尿感、尿の濁りなどが出ます。発熱をともなわないことが多く、発熱・背部痛をともなうときは腎盂腎炎との区別が必要になります
急に強い尿意・頻尿・我慢できない(漏れることも)
- 過活動膀胱(OAB):尿意切迫感を中心に、頻尿・夜間頻尿・我慢できずに漏れる(切迫性尿失禁)といった蓄尿症状が出ます
尿の勢いが弱い・出にくい・残尿感(50歳以上の男性)
- 前立腺肥大症(BPH):尿の勢いの低下、出始めの遅れ、途切れ、残尿感、夜間頻尿などが出ます。進行すると尿が出せなくなる急性尿閉を起こすことがあります
尿に血が混じり、強い痛みをともなう
- 尿路結石:突然の側腹部〜下腹部の激しい痛み(疝痛発作)、血尿、嘔気をともなうことがあります。発熱をともなうときは早急な評価が必要とされます
発熱+片側の背部の痛み+排尿症状
- 腎盂腎炎:膀胱の炎症が腎臓に及んだもので、発熱・側腹部や背部の痛み・全身のだるさをともないます。早めの評価が必要なサインです
痛みをともなわない血尿
- 膀胱の病気など:痛みのない血尿は、感染以外の原因の評価が必要になることがあり、泌尿器科での精査が検討されます
4. 受診先の振り分け早見表
排尿の症状は「泌尿器科」が中心ですが、状況によっては「内科」も入り口になります。随伴症状で振り分けます。
| こんな排尿症状 | まず相談しやすい科 |
|---|---|
| 排尿時痛・頻尿・残尿感(発熱なし) | 泌尿器科(女性は内科でも可) |
| 強い尿意・頻尿・我慢できず漏れる | 泌尿器科 |
| 尿の勢いの低下・出にくい・残尿感(男性) | 泌尿器科 |
| 発熱+片側の背部の痛み | 泌尿器科または内科(早めに)/強いときは救急 |
| 血尿+強い痛み | 泌尿器科または救急(結石の可能性) |
| 痛みのない血尿 | 泌尿器科(精査の検討) |
| 尿が出せない(急性尿閉) | 泌尿器科または救急 |
| 子どもの夜尿(おねしょ) | 小児科 |
泌尿器科 vs 内科の境界
- 泌尿器科:膀胱・前立腺・尿路(腎臓〜尿道)の症状が中心です。尿の勢いの低下、残尿感、血尿、結石を疑う痛み、尿が出せないなど、尿の通り道そのものの評価が必要なときに相談しやすい科です
- 内科:女性の急な単純性膀胱炎(発熱のない排尿時痛・頻尿)は内科でも対応されることがあります。また、発熱をともなう腎盂腎炎の評価や、糖尿病など全身の病気が背景にあるかどうかの相談の入り口にもなります
「軽い症状は内科・重い症状は泌尿器科」と単純に分かれるわけではありませんが、発熱や背部痛の有無・血尿の有無・尿が出せるかどうかで考えると、相談先と急ぎ方を絞り込みやすくなります。発熱をともなう片側の背部痛は腎盂腎炎の可能性があり、早めの受診が検討されます。
5. 自分でできる対処と、やってはいけないこと
やってよいこと
- 水分を適度にとる(極端な制限はしない)。膀胱炎が疑われる場面では水分摂取がすすめられることがあります
- 排尿の症状の種類(痛み/頻尿/勢いの低下/残尿感/血尿)・始まった時期・発熱や背部痛の有無をメモしておく(受診時に役立ちます)
- トイレを我慢しすぎない
- 体を冷やしすぎない・陰部を清潔に保つ
慎重にしたいこと
- 市販薬や残っている抗菌薬で自己判断の治療をする:症状が紛らわしいことがあり、自己判断は腎盂腎炎などの見逃しにつながることがあります。続く症状や発熱があるときは、まず医療機関で相談するのが安全です
- 血尿を「疲れのせい」と決めつけて放置する
やってはいけないこと(レッドフラグ時)
- 発熱+片側の背部の痛みをともなう排尿症状を様子を見る(腎盂腎炎の可能性)
- 痛みのない血尿を「一度だけだから」と放置する
- 尿が出せない(急性尿閉)状態を我慢する
排尿の症状は「そのうち治る」と様子を見がちですが、発熱+背部痛・血尿・尿が出せないときは、一度きちんと原因を評価することが大切です。
6. 受診前のチェックポイント
診察がスムーズになるよう、以下を整理して伝えられると役立ちます。
- どんな症状か(排尿時痛/頻尿/夜間頻尿/尿意切迫/尿の勢いの低下/残尿感/尿もれ/血尿)
- いつから・どのくらい続いているか
- 血尿の有無(痛みをともなうか・色)
- 発熱・寒気・側腹部や背部の痛みの有無
- 尿が出しにくい・出せない感覚があるか
- 日中・夜間それぞれの排尿回数
- 性別・年齢(男性で50歳以上か、女性か、子どもか)
- 既往歴(尿路結石・前立腺の病気・糖尿病など)と服用中の薬
7. よくある質問
Q1. トイレが近い(頻尿)だけでも受診したほうがよいですか?
A. 頻尿だけでも、生活に支障が出ている・だんだん強くなる・夜間に何度も起きるといったときは、一度泌尿器科で相談するとよいとされています。頻尿の背景には過活動膀胱、膀胱炎、男性では前立腺肥大症などさまざまな原因があり、原因によって対応が変わります。発熱・背部痛・血尿をともなうときは、日数にかかわらず早めの受診が検討されます。
Q2. 排尿のときに痛みがあります。何科に行けばよいですか?
A. 排尿時痛に頻尿・残尿感をともなうときは膀胱炎の可能性があり、泌尿器科が中心になります。女性の発熱をともなわない急な膀胱炎は内科でも対応されることがあります。ただし、発熱や片側の背部の痛みをともなうときは腎盂腎炎の可能性があり、早めの受診が必要とされます。
Q3. 尿に血が混じっていました。様子を見てもよいですか?
A. 血尿は、結石・感染・膀胱の病気などさまざまな原因で起こります。強い痛みをともなう血尿は結石などの可能性があり、**痛みのない血尿(無痛性血尿)**は感染以外の原因の評価が必要になることがあるため、いずれも泌尿器科で相談する目安になります。一度だけでも、自己判断で放置せず受診を検討してください。
Q4. 男性で尿の勢いが弱く、夜に何度もトイレに起きます。何科ですか?
A. 50歳以上の男性で、尿の勢いの低下・出始めの遅れ・残尿感・夜間頻尿などが続くときは、前立腺肥大症などの可能性があり、泌尿器科で相談するのが一般的です。尿が出したくても出せない(急性尿閉)状態になったときは、当サイトの結果にかかわらず早めの受診・救急受診を検討してください。
Q5. 膀胱炎を繰り返します。どうすればよいですか?
A. 膀胱炎を繰り返すときは、背景に原因がないかを含めて一度きちんと評価する意義があります。自己判断で市販薬や残っている薬を使うと、症状を紛らわしくしたり腎盂腎炎の見逃しにつながったりすることがあるため、繰り返す排尿症状は泌尿器科(女性は内科でも可)で相談するとよいとされています。発熱・背部痛をともなうときは早めの受診を検討してください。
8. 関連ページ
このサイトの内容は、診療ガイドラインや教科書から得られる一般的な情報をまとめたものです。実際の診療では症状が似ていても診断は人によって異なり、同じ病気でも経過や対応は一人ひとり違います。気になる症状があるときは、必ず医療機関で医師の診察を受けてください。
監修:長友恭平(精神保健指定医/標榜:精神科・心療内科)
参考にした主な情報源
この記事は、各学会の診療ガイドライン・厚生労働省の公開情報・Minds ガイドラインライブラリ・標準的な医学教科書をもとに、医師監修のうえ作成しています。