小児科か心療内科か——不登校・起立性調節障害・腹痛で迷ったときの受診先
監修:長友恭平(精神保健指定医/標榜:精神科・心療内科)なぜ精神科・心療内科の医師が全科を監修しているの?
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「朝起きられなくて学校に行けない」「腹痛や頭痛が続くのに検査では異常なし」「不登校が続いている」——こうした子どもの症状は、どの科を受診すべきか判断が難しいことがあります。ここで整理します。
結論:まずどっち?
| 状況・症状 | 受診先の目安 |
|---|---|
| 朝起きられない・立ちくらみが強い(初診) | 小児科(起立性調節障害の評価) |
| 腹痛・頭痛・吐き気が繰り返す(身体症状中心) | 小児科(器質的疾患の除外から) |
| 不登校が続いているが身体症状はない | 心療内科(思春期外来)・精神科(児童)・スクールカウンセラー |
| 不安・気分の落ち込みが強い | 心療内科(思春期外来)・児童精神科 |
| 身体症状があり、学校・ストレスとの関連が明らか | 小児科 + 心療内科の連携 |
| 自傷・希死念慮がある | 急いで児童精神科・精神科へ |
多くのケースでは、まず小児科で身体的な問題を評価してから、心理・精神的なアプローチへ移行するルートが一般的です。
起立性調節障害(OD)とは
起立性調節障害(Orthostatic Dysregulation: OD)は、小中高校生の約10%に見られるとされる自律神経の機能的障害です。朝の起きにくさ・立ちくらみ・頭痛・腹痛・倦怠感といった症状が特徴で、午前中に症状が強く午後になると改善するパターンが多いとされています。
- 起床困難(午前中に症状強く、起き上がると悪化する)
- 立ちくらみ・失神しそうな感覚
- 頭痛・腹痛・吐き気
- 倦怠感・集中力低下
- 入眠困難(夜は眠れないのに朝起きられない)
「怠け」「気持ちの問題」と誤解されやすいですが、自律神経調節の機能的な問題として小児科での評価・管理が推奨されています。
起立性調節障害が疑われる場合は、まず小児科(一般小児科・小児神経内科)でシェロングテスト(起立試験)・血圧・脈拍の評価を受けることが一般的なスタートです。
心身症・機能性身体症状と小児心療内科
「検査で異常がないのに繰り返す身体症状」は、心身症や機能性身体症状の可能性があります。小児では過敏性腸症候群・機能性腹痛・緊張型頭痛・過呼吸などが代表的です。
こうした症状は、身体的な問題とこころの問題が複雑に絡み合っていることが多く、「どちらか」ではなく「両方の視点が必要」というケースが少なくありません。
小児科の中に「心療内科的なアプローチ」ができる医師がいる場合はそこを活用できます。地域によっては「小児心身医療科」「思春期外来」が小児科の中に設置されていることがあります。
不登校と受診先
不登校の背景は多様です。
- 身体症状が主体(起立性調節障害・機能性腹痛など):小児科中心
- 不安・社交不安・強迫が主体:児童精神科・思春期心療内科
- 気分の落ち込みが主体(うつ状態):児童精神科
- 発達特性(ASD/ADHD)がベース:児童精神科・発達外来
- いじめ・環境要因が主体:スクールカウンセラー・教育相談センターから
一つの要因ではなく複数が重なることが多く、最初の相談先は「親が一番話しやすそうな場所」から始めるのが現実的な場合もあります。
スクールカウンセラー・教育相談センター・市区町村の子育て相談窓口も、医療機関の受診前に利用できる相談窓口です。
心療内科(思春期外来)と児童精神科の違い
- 心療内科:ストレスや心理的要因による身体症状が主訴の場合に対応。思春期外来を設けているクリニックでは、不登校・対人不安・抑うつなども扱います。
- 児童精神科:うつ病・不安症・ASD・ADHD・摂食障害・自傷行為など、より専門的な精神科的診断と治療が必要な場合。子どもの精神科医は少なく、待機が長いことが多いという実情があります。
🚨 急いで受診が必要な場合
次のようなサインがある場合は、早めの受診(または緊急対応)を検討してください。
- 「死にたい」「消えたい」という言葉や言動がある
- 自傷行為(リストカット・頭を打ちつけるなど)が繰り返されている
- 食事をほとんど取らない状態が続いている(体重が著しく低下)
- 強いパニック発作が繰り返される
- 完全に外に出られない・人と話せない状態が長期化
こうした症状がある場合は、児童精神科への早期受診が推奨されます。かかりつけの小児科に相談して紹介状を出してもらうことで、受診がスムーズになる場合があります。
受診前に準備できること
- 症状がいつから始まったか、どんな状況で悪化するか
- 学校を休む日数・パターン(午前だけ欠席・毎日欠席など)
- 体重・食事・睡眠の状況
- 学校での様子(先生や担任からの情報)
- 本人が「困っている」と感じていることを本人に確認する
よくある質問
Q. 小児科に行ったら「異常なし」と言われました。心療内科に行くべきですか?
A. 「検査で異常なし」という結果は、「身体的な病気は否定できた」という重要な情報です。その上で、身体症状が続く場合やこころの問題が関わっている可能性がある場合は、心療内科(思春期外来)または児童精神科への相談が一つの選択肢です。かかりつけの小児科に「次はどこへ相談すればいいか」を聞いてみることも有効です。
Q. 子どもが「病院に行きたくない」と言っています。どうしたらいいですか?
A. 子ども自身が受診を拒んでいる場合、まず保護者だけで「親の相談」として医療機関や相談窓口を訪れることが一つの方法です。「親が先に話を聞いてもらう」ことで子どもへのアプローチ方法を教えてもらうことができます。
Q. 起立性調節障害の治療はどんなことをするのですか?
A. 一般的な対応として、塩分・水分の積極的な摂取、急に立ち上がらない(ゆっくり起きる)生活の工夫、弾性ストッキングの使用などが指導されます。重症例では薬物療法(昇圧薬など)が行われることもあります。学校との連携(遅刻・早退への理解)も重要な対応の一部です。午後から活動できることが多いため、午後登校から段階的に始めるケースも多いです。
Q. 不登校の子を「無理やり学校に行かせる」方が良いですか?
A. これは専門家の間でも意見が分かれる難しい問題ですが、現在の一般的な考え方は「本人のペースを尊重しつつ、何かに参加できる機会を維持する」というものです。症状の背景(起立性調節障害・強い不安・うつ状態など)によって対応は異なります。無理な登校強制が悪化につながるケースもあるため、まず医療・相談機関で状態を評価することが先決とされることが多いです。
まとめ
- 朝起きられない・立ちくらみ→まず小児科で起立性調節障害の評価
- 繰り返す腹痛・頭痛→まず小児科で身体疾患の除外
- 不登校が続く+気分・不安の問題→心療内科(思春期外来)か児童精神科
- 自傷・希死念慮→急いで児童精神科へ
- 複数の要因が重なることが多い→一つの相談窓口から始めるのが現実的
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監修:長友恭平(精神保健指定医/標榜:精神科・心療内科) このページの内容は診療ガイドラインや標準的な医学教科書をもとにまとめた一般情報です。 お子さんの症状については、かかりつけの小児科や地域の相談窓口にご相談ください。
参考にした主な情報源
この記事は、各学会の診療ガイドライン・厚生労働省の公開情報・Minds ガイドラインライブラリ・標準的な医学教科書をもとに、医師監修のうえ作成しています。