女性の下腹部痛——内科か婦人科か迷ったときの選び方
監修:長友恭平(精神保健指定医/標榜:精神科・心療内科)⚠️ このサイトは診断を行うものではありません。受診先を考えるための参考情報です。
女性の下腹部痛は、虫垂炎・大腸の病気・尿路感染症・卵巣や子宮の病気など、多方面の原因がありえます。受診先を選ぶ目安を整理します。
すぐに救急受診を考えるサイン
- 突然の激しい下腹部痛+失神・冷や汗(異所性妊娠破裂・卵巣茎捻転・卵巣嚢腫破裂の可能性)
- 妊娠の可能性がある方の急な下腹部痛
- お腹を押すと跳ね返るような強い痛み(腹膜炎)
- 高熱と強い下腹部痛(骨盤腹膜炎・敗血症の可能性)
これらに当てはまる場合は、当サイトの結果にかかわらず119/救急外来を選んでください。
結論:まずどっち?
| 症状の特徴 | おすすめの初診科 |
|---|---|
| 月経周期と関連する痛み | 産婦人科 |
| 不正出血をともなう | 産婦人科 |
| 排尿時痛・頻尿・側腹部痛 | 泌尿器科または内科 |
| 嘔吐・下痢をともなう | 内科 |
| 右下腹部痛+発熱(虫垂炎疑い) | 内科・救急 |
| 妊娠の可能性 | 産婦人科 |
| 帯下異常・性交痛 | 産婦人科 |
内科でできること
内科では消化器系・尿路系の一般的な原因にアプローチできます。
- 急性胃腸炎
- 過敏性腸症候群
- 便秘
- 単純性膀胱炎(女性に多い)
- 虫垂炎の初期評価(必要に応じて外科へ紹介)
- 全身状態の確認(発熱・脱水)
産婦人科でできること
産婦人科は女性特有の疾患を専門的に扱います。
- 月経困難症・PMS/PMDD
- 子宮内膜症
- 子宮筋腫
- 卵巣嚢腫
- 排卵痛
- 骨盤内炎症性疾患(PID)
- 妊娠関連の評価(異所性妊娠の除外含む)
- 子宮頸がん・体がんの精査
- 性感染症の検査と治療
産婦人科では経腟超音波で子宮・卵巣などの骨盤内臓器を直接評価でき、内診と組み合わせて婦人科疾患の鑑別を進められます。月経周期との関連が明らかな下腹部痛・不正出血をともなう痛みは、最初から産婦人科を選ぶのが早道です。
内科を経由したほうがいい人・産婦人科に直接行ったほうがいい人
「迷ったらどっち」を考えるとき、痛みの性質と背景でざっくり分けられます。
内科を経由したほうがいい人
- 嘔吐・下痢・発熱など消化器症状や全身症状が前面に出ている
- 痛みが月経周期と関係なく、いつもと違う場所が痛む
- かかりつけ内科があり、過去の検査結果やお薬を共有してもらえる
- 「婦人科か内科かまったく見当がつかない」と感じる
このタイプの方は、まず内科で採血・尿検査・必要に応じてエコーまで行い、婦人科疾患の可能性が残ったときに紹介状を書いてもらう流れが現実的です。
産婦人科に直接行ったほうがいい人
- 月経のたびに痛みが強くなる/月経周期と痛みが一致する
- 不正出血や帯下の変化を一緒に感じている
- 妊娠の可能性がある
- すでに子宮筋腫・子宮内膜症・卵巣嚢腫を指摘されたことがある
- ピル内服中・妊活中など婦人科に通院歴がある
このタイプの方は、最初から産婦人科を選ぶと経腟超音波と内診を組み合わせて1回の受診で多くがクリアになります。
婦人科を初めて受診する方への補足
婦人科受診をためらう方は多いですが、下腹部痛の原因として婦人科疾患は決して珍しくありません。実際の流れを知っておくと、不安が小さくなります。
受診当日の流れ(一般的なクリニックの場合)
- 問診票記入(最終月経日・主な症状・性交渉歴の項目など)
- 医師による問診(5〜10分)
- 必要に応じて経腟超音波/経腹超音波(5〜10分)
- 採血・尿検査・帯下検査など追加検査
- 結果説明と方針の相談
所要時間はクリニックの混雑にもよりますが、初診はトータルで1〜2時間を見ておくと安心です。
よくある不安への回答
- 「いきなり内診になる?」:問診を経てから検査が決まります。検査内容は事前に説明があり、希望や不安は伝えてかまいません。
- 「経腟超音波が怖い」:性交渉経験のない方には経腹(お腹の上から)や経直腸での代替が選ばれることが多いです。
- 「夫やパートナーに知られたくない」:保険診療の明細書は通院した本人宛に届きますが、同居の家族が中身を見ることもあるため、気になる場合は受付で相談してください。
よくある質問
Q. 性交渉の経験がなくても婦人科を受診してかまいませんか?
A. まったく問題ありません。月経困難症・卵巣嚢腫・子宮内膜症などは性交渉歴と関係なく起こります。経腟超音波の代わりに経腹または経直腸エコーで評価できますので、来院時に伝えてください。
Q. 生理痛がひどいとき、まず内科でロキソニンをもらうのと、最初から婦人科に行くのとどちらがいい?
A. 鎮痛薬で十分にコントロールできていて、日常生活への支障が軽い場合は内科でも問題ありません。一方、市販の鎮痛薬で効きが悪い・年々悪化している・寝込むほど痛い場合は子宮内膜症や子宮腺筋症などが背景にあることがあり、産婦人科で評価してもらう価値が大きくなります。
Q. 低用量ピルやミレーナの相談はどこですればいい?
A. 産婦人科が窓口になります。月経困難症・PMS/PMDD・子宮内膜症の治療として保険適用になる場合と、避妊目的で自費になる場合があります。
Q. PMS(月経前症候群)がつらいとき、心療内科と産婦人科のどちらに行けばいい?
A. まず産婦人科で器質的疾患の有無を確認し、低用量ピルなどの治療を試すのが一般的です。精神症状(強い抑うつ・イライラ)が前面に出るPMDDで、ピルだけでコントロールしきれないときは、心療内科・精神科と産婦人科の併診になることもあります。
Q. 妊娠していないはずなのに下腹部痛が続きます。何科ですか?
A. 月経周期との関係・性器症状・排尿症状・消化器症状のうちどれが前面かで分けて考えます。月経周期と一致する/不正出血を伴うなら産婦人科、排便・下痢・血便があるなら消化器内科、排尿症状なら泌尿器科または内科です。判断に迷う場合は、まず内科で全身状態を見てもらうのも一案です。
受診時のチェックポイント
産婦人科でも内科でも、以下を整理しておくと診察がスムーズになります。
- 最終月経の日(覚えていれば前々回も)
- 月経周期と痛みの関係(周期のどのタイミングで強くなるか)
- 鎮痛薬の使用状況と効き
- 不正出血・帯下異常の有無
- 性交渉歴・避妊の有無
- 排尿症状の有無(頻尿・排尿時痛・残尿感)
- 嘔吐・下痢の有無
- 発熱の有無
- 過去の婦人科手術・既往(筋腫・内膜症・嚢腫など)
- 現在飲んでいる薬(ピル含む)
迷ったら、まず通いやすい内科で全身状態を見てもらい、婦人科疾患が疑われたら紹介を依頼する流れでも問題ありません。月経周期との関連が明らかなら、最初から産婦人科が早道です。
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監修:長友恭平(精神保健指定医/標榜:精神科・心療内科)